光也「翻译文学bot」

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電児 春の陽に桜日傘で目を瞑り 知らぬ阿弥陀に道を聞きたい
桜散る風に背を向け目を瞑り 縁者亡者のささやきを聞く
花吹雪右に左と肩揺すり 倶生神はと手をさしのべる
春の陽に肩のお神に子守唄 閻魔いぶかる夢見の話
善事なし暇な毎日悪事なし 倶生つきあう無事な一生
お市の方 風さそう花よりもなほ我はまた 春の名残をいかにとやせむ
さらぬだに打ぬる程も夏の夜の 別れを誘ふ郭公(ほととぎす)かな
ねね・醍醐の花見 咲けば散り散れば咲きぬる山桜 いやつぎつぎの花さかりかな
阿南惟幾 大君の深き恵に浴みし身は 言い残すべき片言もなし
安藤九郎左衛門 老いの身はいづくの土となるとても 君が箕輪に心留まる
   
安藤広重 東路に筆を残して旅の空 西のみくにの名所を見む
伊達政宗 馬上少年過 時平白髪多 残躯天所許 不楽是如何
曇りなき心の月を 先だてて 浮世の闇を照らしてぞ行く
咲きしより今日散る花の名残まで 千々に心のくだけぬるかな
伊東義益 閑かなる 時世に花も おくれじと 先づ咲きそむる 山桜かな
伊藤博文 あの馬鹿野郎が
井原西鶴 辞世 人間五十年の究まり それさえ我にはあまりたるに ましてや浮世の月見過しにけり 末二年
追善発句
月に尽きぬ世がたりや二万三千句如貞
念仏きく常さえ秋はあわれ也幸方
秋の日の道の記作れ死出の旅万海
世の露や筆の命の置所信徳
残いたか見はつる月を筆の隈言水
井上井月 何処やらに鶴の声聞く霞かな 
                  
一の台 (秀次側室) つまゆへに くもらぬ空に 雨ふりて 白川くさの 露ときえけり 
ながらへて ありつるほどの 浮世とぞ 思へばなかる 言葉もなし
一休和尚 須弥南畔(この世界)誰か我禅に会う 虚堂来る也 半銭に値せず
  身後精魂何処にか去る 黄陵の夜雨馬嵬の風 
一遍 みづから一念発心せんよりほかには
   三世諸仏の慈悲も済ふこと能はざるものなり
一代聖教みな尽きて 南無阿弥陀仏に成り果てぬ 
わが亡骸は野に捨て獣に施すべし 
宇喜多秀家 御菩薩の種を植えけんこの寺に 緑の松のあらぬ限りは
羽川珍重 たましいのちり際も今一葉かな
英一蝶 まぎらかす浮世の業の色どりも ありとや月の薄墨の空
岡倉天心 十二万年夕月の夜 訪ひ来ん人を松の影
岡田以蔵 君が為め尽くす心は水の泡 消えにし後は澄みわたる空

沖田総司 動かねば闇にへだつや花と水
加賀千代女 月も見てわれはこの世をかしくかな
快川紹喜 心頭滅却すれば火もまた涼し
芥川龍之介 水涕や鼻の先だけ暮れ残る
貝原益軒 越し方は一夜ばかりの心地して 八十路あまりの夢を見しかな
柿本人麻呂 鴨山の岩根し枕けるわれをかも 知らにと妹が待ちつつあるらむ
葛飾北斎 人魂で行く気散じや夏野原
蒲生氏郷 限りあればふかねど花は散りぬるを 心短き春の山風
甘粕正彦 大博打元も子もなくすってんてん 
(大ばくち身ぐるみ脱いですってんてん)
                     
紀貫之 手に結ぶ水にやどれる月影の あるかなきかの世にこそありけれ
鬼坊主清吉 武蔵野にはじかる(=はだかる)程の鬼あざみ 今日の暑さに枝葉しおるる
戯僧 世の中はしやのしやの衣つつてんてん でくる坊主に残る松風
吉川経家 武夫の取り伝へたる梓弓 かへるやもとの栖なるらん
吉村寅太郎 吉野山風に乱るるもみじ葉は 我が打つ太刀の血煙と見よ
曇りなき月を見るにも思うかな 明日は屍の上に照るやと
吉田松蔭 親を思う心に勝る親心 けふの音づれ何ときくらん(親兄弟当て)
これほどに思定めし出立を けふ聞く声ぞそうれしかりける
かへらじと思い定めし旅なれば ひとしほぬるる涙松かな
身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも とどめ置かれし大和魂
かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂  

宮沢賢治 方十里稗貫のみかも稲熟れて み祭三日そらはれわたる
病のゆえにもくちんいのちなり みのりに棄てばうれしからまし
菊五郎(六代目) まだ足らぬ踊り踊りてあの世まで
芹沢鴨 雪霜に色よく花のさきがけて 散りても後に匂ふ梅が香
近松門左衛門 それ辞世さる程さてもその後に 残る桜の花し匂はば
空海 生のはじめに昏(くら)く生の終わりに冥(くら)し
空也 無覚の聖衆来迎空に満つ
契沖 心平等といえども事に差別あり 差別の中心はまさに平等たるべし
月照 曇なき心の月も薩摩潟 沖の波間にやがて入りぬる

原石鼎 松朽葉かからぬ五百木無かりけり
源実朝 出でて去なば主なき宿となりぬとも 軒端の梅よ春を忘るな
乞食女 ながらえばありつる程の浮世ぞと 思えば残る言の葉もなし
幸徳秋水 爆弾のとぶよと見てし初夢は 千代田の松の雪折れの音
江藤新平 ただ皇天后土我が心を知るのみ
荒木村重・妻 みがくべき心の月の曇らねば 光と共に西へこそ行け
香川玄悦 仏神の恵みに叶う我が流儀 末世の人を救いたまへや
                  
高橋多一郎 鳥か啼くあつま武男か真心は 鹿島の里のあなたと知れ
高杉晋作 おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり
黒田官兵衛(如水) 思ひおく言の葉なくてつひに行く 道は迷はじなるにまかせて
今川氏真 なかなかに世をも人をも恨むまじ 時にあはぬを身の科にして
佐久間盛政 世の中を巡り果てなる小車は 火宅の門を出るなりけり
佐々成政 この頃の厄妄想を入れ置きし 鉄鉢袋今破るなり
駒姫(伊満) 罪なき身も世の曇りにさへられて ともに冥途に赴かば 五常のつみもほろびなんと思ひて 
罪をきる弥陀の剣にかかる身の なにか五つの障りあるべき  
(つみをきるみだのつるぎにかかるみの なにかいつつのさわりあるべき)
(「恨の介」おこぼ) 南無阿弥陀 蓮(はちす)の露とこぼるれば 願ひの岸に到る嬉しき
斎藤道三 捨ててだにこの世のほかはなき物を いづくかつひのすみかなりけむ

細川ガラシャ(伽羅奢) 露をなどあだなるものと思ひけん わが身も草に置かぬばかりを
先立つは今日を限りの命ともまさりて 惜しき別れとぞ知れ
散りぬべき時知りてこそ世の中の 花も花なれ人も人なれ
在原業平 つひに行く道とはかねて聞しかど 昨日今日とは思はざりしを
坂 英力 うきくもを払ひかねたる秋風の 今は我か身にしみぞ残れる
薩摩守平忠度 さざなみや志賀の都は荒れにしを 昔ながらの山桜かな
行きくれて木の下のかげを宿とせば 花や今宵の主ならまし
三浦義同(道寸) 討つ者も討たるる者も土器よ くだけて後はもとの塊 
うつものもうたれるものもかわらけよ くだけて後はただの土くれ
                  
三好長治 極楽も地獄もさきは有明の 月の心にかかる雲なし
三好野の梢の雪と散る花を 長き春とや人のいふらん
三村元親 人といふ名をかる程や末の露 きえてぞかへるもとの雫に
三村勝法師丸 夢の世に幻の身の生れ来て 露に宿かる宵の電(いかづち)
三島由紀夫 益荒男がたばさむ太刀の鞘鳴りに 幾とせ耐へて今日の初霜
散るをいとふ世にも人にもさきがけて 散るこそ花と吹く小夜風
三遊亭一朝 あの世にも粋な年増がゐるかしら
山岡鉄舟 腹いたや苦しき中に明けがらす
山下奉文 待てしばし勲残して逝きし戦友 後な慕いて我も行きなん

山崎宗鑑 宗鑑はいづこへ行くと人問はば ちと用(癰)ありてあの世へといえ
山上憶良 士やも空しくあるべき万代に 語りつぐべき名は立てずして
山川唐衣 我ながら何に名残を惜しむらむ 思ひおくべきこともなき世に
山村通庵 本来の宗風端無く達通す 眼光落地 自性真空
山田風太郎 いまわの際に言うべき一大事はなし
山之手殿(寒松院) 五行をばその品々に返すなり 心問わるる山の端の月
山本五十六 天皇の御楯とちかふ真心は とどめおかまし命死ぬとも
弓矢とるくにに生れし益良雄の 名をあらはさむときはこのとき
                  
司馬江漢 江漢が年が寄ったで死ぬるなり 浮世に残す浮絵一枚
柴田勝家 夏の夜の夢路はかなき跡の名を 雲居にあげよ山郭公(やまほととぎす)
車持娘子 我が命は惜しくもあらずさにつらふ君によりてそ長く欲りせし
十返舎一九 この世をばどりゃお暇せん香の 煙とともに灰さようなら
緒方襄 すがすがし花の盛りにさきがけて 玉と砕けむ大丈夫は
死するともなほしするとも我が魂よ 永久にとどまり御国まもらせ
商人の娘 おのづから心の水の清ければ いづれの水に身をや清めん
生まれ来て身には一重も着ざりけり 浮世の垢をぬぎて帰れば
死ぬる身の教えなきとも迷うまじ 元来し道をすぐに帰れば

小西来山 来山はうまれた咎で死ぬる也 それでうらみも何もかもなし
小堀遠州 昨日といい今日とくらしてあすかがは(飛鳥川) 流れてはやき月日なりけり
昨日といひ今日とくらしてなす事も なき身の夢のさむる曙
小林一茶 盥(たらい)から 盥へうつる ちんぷんかん
松前公広 来し道も帰る道にも只独り のこる姿は草の葉の露
松尾芭蕉 旅に病んで夢は枯野をかけ巡(廻)る
上杉謙信 四十九年一睡の夢 一期の栄華一杯の酒
極楽も地獄も先は有明の 月の心に懸かる雲なし
                  
織田信孝 昔より主をうつ海の野間なれは尾張を待てや羽柴筑前(勢州軍記)
むかしより主をうつみのうらなれは むくいをまてやはしはちくせん(川角太閤記)
昔より主をうつみの野間なれば おはりを待や羽柴筑前(北畠物語)
むかしより主をうつみの野間なれば むくひをまてや羽柴筑前(張州府志)
いにしへも主を内海の縁(浦)あれば むくいをまてや羽柴筑前(三河後風土記)
昔より主を内海の浦なれば尾張を待てや羽柴筑前(氏郷記)
新門辰五郎 おもいおくまぐろの刺身河豚の汁 ふっくらぼぼにどぶろくの味
森鴎外 余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス
真木和泉 大山の峯の岩根に埋めにけり 我が年月の大和魂
神保長輝 帰りこん時ぞと母の待ちしころ はかなきたより聞くべかりけり

親鸞 我なくも法は尽きまじ和歌の浦 あをくさ人のあらん限りは
常陸の人々ばかりぞ この者どもをも御あはれみ あはれ候ふべからん いとをしう人々あはれみ思しめすべし
諏訪頼重 自ずから枯れ果てにけり草の葉も 主あらばこそ又ぞ結ばめ
世捨て人 呉くれぬ憂さ嬉しさも果てぬれば おなじ裸のものの身にこそ
正岡子規 糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな
痰一斗糸瓜の水も間にあはず
をとゝひのへちまの水も取らざりき
清河八郎 魁けてまたさきがけん死出の山 迷ひはせまじすめらぎの道
清水宗治 世の中におしまるる時死にてこそ 花も花なれ色もありけり
浮世をば今こそ渡れ武士(もののふ)の 名を高松の苔に残して
                  
西郷一族(会津) いざたどらまし死での山道手をとりて 共に行きなば迷わじを
なよたけの風にまかする身ながらも たわまぬ節はありとこそ知れ(西郷千重子)
死にかへり幾度び世に生るとも ますら武夫となりなんものを
武士の道と聞きしをたよりにて 思ひたちぬるよみの旅かな
あいつねのおちこち人に知らせてよ 保科近悳けふしぬるなり
秋霜飛んで金風冷たく 白雲去って月輪高し
手をとりてともに行きなば迷はじよ いざたどらまじ死出の山みち

西行法師 捨て果てて身儚きものと思いしも 雪の降る日は寒くこそあれ
願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ
世の中を思へばなべて散る花の わが身をさてもいづちかもせむ
花さへに世を浮き草になりにけり 散るをおしめばさそふ山水
そらになる心は春の霞にて 世にあらじともおもひ立つかな
花よりは命をぞなお惜しむべき待ちつくべしと思ひやはせし
石川五右衛門 石川や浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ
石谷・斎藤道三家臣 名を惜しむ命やかへん世の中に ながらへはつる習ひありとも
石田三成 筑摩江や芦間に灯すかがりびと ともに消えゆくわが身なりけり
絶海中津 虚空地に落ち 火星乱れ飛ぶとも 筋斗を倒打して 鉄囲を抹過せん
                  
千利休 人世七十 力圍希咄吾這宝剣 祖仏と共に殺す  
堤ぐる我が得具足の1つ太刀 今この時ぞ天に抛
川端茅舎 朴散華即ちしれぬ行方かな
川島芳子 家あれども帰るを得ず涙あれども泣く所を得ず
泉鏡花 露草や赤のまんまもなつかしき
浅野長矩 風さそふ花よりもなほ我はまた 春の名残をいかにとやせん
前田慶次郎 生くるまで生きたら死ぬであろうと思ふ
前田夕暮 雪の上に春の木の花散り匂ふ すがしさにあらむわが死顔は
鼠小僧次郎吉 天が下古き例はしら浪の 身にぞ鼠と現れにけり
足利義輝 五月雨はつゆかなみだか時鳥 わが名をあげよ雲の上まで

足利義尚 もしを草あまの袖じの浦波に やどすも心有明の月 出る日のよの国までの鏡山を 思し事もいたづらの身や
足利義政 何事も夢まぼろしと思い知る 身には憂いも喜びもなし
太宰治 池水は濁りににごり藤なみの 影も映らず雨ふりしきる
大田垣蓮月 願わくばのちの蓮(はちす)の花のうえに くもらぬ月をみるよしもがな
太田道灌 かかる時さこそ命の惜しからめ かねて亡き身と思い知らずば
身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂
大久保一翁 なにひとつ世のためはせでまうつしに のこす姿の恥ずかしきかな
                  
大高源吾 梅で飲む茶屋もあるべし死での山
大西滝治郎 これでよし百万年の仮寝かな
大石内藏助 あらたのし思いは晴るる身は捨つる 浮世の月にかかる雲なし
極楽の道はひとすぢ君ともに 阿弥陀をそへて四十八人 
萱野三平重実(涓泉) 晴れゆくや日頃心の花曇り 
大前田英五郎 あら嬉れし行く先知れぬ死出の旅
大谷吉継 契りあれば六つの衢に待てしばし 遅れ先だつことはありとも
大津皇子 ももづたふ磐余の池に鳴く鴨を 今日のみ見てや雲隠りなむ
大田南畝 ほととぎす鳴きつるかたみ初鰹 春と夏との入相の鐘
大島澄月 澄む月のしばし雲には隠るとも 己が光は照らさざらめや

大道寺政繁 後の世のかぎりぞ遠き弓取りの いまはのきはに残す言の葉
大内義長 誘ふとて何か恨みん時きては 嵐のほかに花もこそ散れ
大内義隆 逆ならぬ君の浮名を留めおき 世にうらましき春の浦波
討つ人も討たるる人も諸共に 如露亦如電 応作如是観
大葉子 韓国の城(き)の上に立ちて大葉子は 領巾(ひれ)振らすも大和へ向きて
瀧沢馬琴 世の中の厄をのがれて元のまま かへすは天と地の人形
沢庵和尚 かかる時さこそ命の惜しからめ かねて亡き身と思い知らずば
全身を埋めてただ土を覆うて去れ 経を読むことなかれ 
百年三万六千日 弥勒観音幾是非 是亦夢非亦夢 弥勒夢観音亦夢 仏云応作如是観
                  
叩々老人 五斗(醤油のかす)はおき後生(来世)も乞わぬ我が腰を 折りて今日はい左様なら
但木土佐 雲水の行方はいづこむさし野を ただ吹く風にまかせたらなん
池田和泉守 露の身の消えても心残り行く 何とかならんみどり子の末
竹久夢二 日にけ日にけ かっこうの啼く音ききにけり かっこうの啼く音はおおかた哀し
中山信名 酒も飲み浮かれ女も見つ文もみつ 家も興して世に恨み無し
中野貫一 無理おごり朝寝かけ事慎みて なりはひはげめ国は栄えん
中野竹子 武士の猛き心にくらぶれば 数にも入らぬ我が身ながらも
朝倉義景 七転八倒 四十年中 無他無自 四大本空
かねて身のかかるべしとも思はずば 今の命の惜しくもあるらむ

長野業盛 陽風に梅も桜も散りはてて 名にぞ残れるみわの郷かな
鳥居強右衛門勝商 我が君の命に代わる玉の緒を 何いとひけむもののふの道
弟橘比売 さねさし相模の野に燃ゆる火の ほむらに立ちて問いし君はも
天狗小僧霧太郎 生涯を賭けて盗めど今までに 身に付く金は今日の錆び槍
田中河内介 ながらへてかはらぬ月を見るよりも 死して払はん世々の浮雲
土肥原堅二 わが事も全て了りぬいざさらば さらばさらばではい左様なら
有無の念いまは全くあと立ちて 今日このころの秋晴れの如し
                  
土方歳三 叩かれて音の響きしなずなかな
よしや身は蝦夷が島辺に朽ちぬとも魂は東(あずま)の君やまもらむ
島津義久 世の中の米と水とを汲み尽くし 尽くして後は天津大空
島津義弘 春秋の紅葉はついに留まらず 人も虚しき関路なりけり
島木赤彦 我が家の犬はいづこにゆきならむ 今宵も思ひいでて眠れる
東郷茂徳 いざ児らよ戦うなかれ戦わば 勝つべきものぞゆめな忘れそ
東条英機 たとへ身は千々に裂くともおよばじな 栄しみ世をおとせし罪は
さらばなり苔の下にてわれ待たん 大和島根の花薫るとき
我ゆくもまたこの土地にかへり来ん 國に酬ゆることの足らねば 
明日よりはだれにはばかるところなく 弥陀のみもとでのびのびと寝む

陶晴賢 何を惜しみ何を恨まん元よりも この有様の定まれる身に
道元 渾身求むるところなく 活きながら黄泉に陥つ
徳川家康 人生とは重き荷を背負いて遠き道を行くが如し
嬉しやと二度さめて一眠り うき世の夢は暁の空
先に行くあとに残るも同じこと 連れていけぬをわかれとぞ思う
細川幽斎  いにしへも今もかはらぬ世の中に こころの種を残す言の葉 
内藤信順 世の中は時雨となりてきのふ今日 ふみとどむべき言の葉もなし
楠木正季 七生まで只同じ人間に生まれて 朝敵を滅ぼさばや
楠木正行 返らじとかねて思えば梓弓 亡き数に入る名をぞとどむる
                  
日野俊基 古来の一句死も無く生も無し 万里雲尽き長江水清し
秋を待たで葛原岡に消える身の 露のうらみや世に残るらん
乃木希典 うつし世を神さりましし大君の あとしたがひて我はゆくなり
乃木静子 いでまして帰ります日のなしと聞く けふの御幸にあふぞ悲しき
波多野秀治 冬のきて山はあらはに木の葉散り 残る松のみ峰にさびしき
萩原朔太郎 行列の行きつくはては餓鬼地獄
八百屋お七 世の哀れ春吹く風に名を残し おくれ桜の今日散りし身は
伴 信友 いまわには何をかいわむ世の常に いいし言葉ぞ我が心なる
ついに逝くときはきにけり残りいて なげかん人ぞかなしかりける

板垣征四郎 とこしへにわがくに護る神々の 御あとしたひてわれは逝くなり
飯田蛇笏 誰彼もあらず一天自尊の秋
飯尾宗祇 眺むる月にたちぞ浮かるる
尾崎紅葉 死なば秋露のひぬ間ぞ面白き
富樫源次 マスラオのマスせんずれば 若き血潮ほとばしりじっと手をみる
武川信臣 世にしばし赤き心はみすてども 散るにはもろき風のもみぢ葉
武田勝頼 朧なる月もほのかにくもかすみ 晴れて行くへの西の山の端(は)
武田勝頼夫人(桂林院) 黒髪の乱れたる世ぞはてしなき 思いに消ゆる露の玉の緒
武田信勝 あだに見よたれも嵐のさくら花 咲き散るほどは春の夜のゆめ
                  
武藤 章 現世 ひとや(獄舎)のなかのやみにいて かの世の光ほのに見るかな
仏行坊 ゆこうゆこうと思えば何も手につかず ゆこやれ西の花のうてなへ
平行盛 ながれての名だにもとまれゆく水の あはれはかなきみはきえぬとも
平薩摩守忠度 行き暮れてこの下陰を宿とせば 花や今宵の主ならまし
平田篤胤 思う事の一つも神に勤めをへず けふや罷るかあたらこの世を
平野国臣 みよや人嵐の庭のもみぢ葉は いづれ一葉も散らずやはある
柄井川柳 木枯しや跡で芽をふけ川柳

別所長治 今はただ恨みもあらず諸人の いのちにかわるわが身と思えば
別所長治・妻 もろともに消え果つるこそ嬉しけれ おくれ先立つならいなる世を
別所友之 命をも惜しまざりけり梓弓 すゑの末まで名を思ふ身は
別所友之・妻 たのめこし後の世までに翅をもならぶる鳥のちぎりなりけり
戊辰戦争・二本松藩士 あす散るも色は変わらじ山桜
戊辰戦争・武士の妻 なよ竹の風にまかせる身ながらも たわまぬ節はありとこそきけ
豊臣秀吉 露と落ち露と消えにし我身かな 難波の事も夢のまた夢
豊臣秀次 磯かげの松のあらしや友ちどり いきてなくねのすみにしの浦
月花を心のままに見つくしぬ なにか浮き世に思ひ残さむ 
うたたねの夢の浮世を出でてゆく 身の入相の鐘をこそ聞け 
思ひきや雲居の秋の空ならで 竹編む窗の月を見むとは
                  
北条基時 待てしばし死出の山辺の旅の道 同じく超えて憂き世語らん
北条時頼 業鏡高く懸げ三十七年 一槌にして打ち砕き大道坦然たり
北條氏照 天地(あまつち)の清きなかより生まれ来て もとのすみかに帰るべらなり
吹くと吹く風な恨みそ花の春 紅葉の残る秋あればこそ
北條氏政 雨雲のおほへる月も胸の霧も 払ひにけりな秋の夕風
我が身いま消ゆとやいかに思ふべき 空より来りくうに帰れば
北條氏直 結びして解くる姿はかはれども 氷のほかの水はあらめや
堀 光器 神かけて誓ひしことのかなはずば ふたたび家路思はざりけり
本因坊算砂 碁なりせば劫(コウ)など打ちて生くべきを 死ぬるばかりは手もなかりけり

本間雅晴 戦友ら眠るバタンの山を眺めつつ マニラの土となるもまたよし
本居宣長 今よりははかなき世とは嘆かじよ 千代の棲家を求めえつれば
夢窓疎石 それ 道に去来生死の相なく また 安危治乱の変なし
無抑和尚 傀儡抽牽六三年 喝 春風天を拂う
明智光秀 順逆二門に無し 大道心源に徹す 五十五年の夢覚め来れば 一元に帰す
心しらぬ人は何とも言はばいへ 身をも惜まじ名をも惜まじ
毛利元就 友を得てなおぞうれしき桜花 昨日にかはる今日のいろ香は
矢沢頼綱の母 死出の山月のいるさをしるべにて 心の闇を照らしてぞ行け
柳亭種彦 われも秋六十帖の名残かな
                  
有島武郎 愛の前に死がかくまでも無力なものだとは この瞬間まで思はなかった
与謝蕪村 白梅に明くる夜ばかりとなりにけり
良寛 散る桜残る桜も散る桜
うらを見せおもてを見せて散るもみじ
草の上に蛍となりて千年を待たむ 妹が手ゆ黄金の水を給ふと言はば
林忠崇 真心のあるかなきかは屠りだす 腹の血潮の色にこそ知れ
林八右衛門 六十路ふるやぶれ衣をぬぎすてて 本来空へ帰る楽しさ
倭建命 倭は国のま秀ろばたたなづく青垣山ごもれる 倭しうるはし 
(大和は国のまほろばたたなづく青垣山ごもれる大和しうるはし) 

西郷隆盛 大君のためには何かおしからむ為 薩摩の迫門に身は沈むとも
和泉式部 あらざらむ此の世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな
生くべくも思ほえぬかな別れにし 人の心ぞ命なりける
有馬皇子 磐代の浜松が枝を引き結び 真幸くあらばまた還り見む
家にあれば笥に盛る飯を草枕 旅にしあれば椎の葉に盛る
近藤勇 孤軍援け絶えて俘囚となり 君恩を顧念して 涙 更流る 一片の丹喪 よく節に殉じ 雎陽は千古 これわが儔 他に靡きて今日また何をか言はむ 義を取り生を捨つるは わが尊ぶところ 快く受く 電光三尺の剣 ただ まさに一生をもって君恩に報いむ
織田信長 人間五十年 下天のうちに比ぶれば 夢幻のごとくなり 一たび生を得て 滅せぬもののあるべきか(「敦盛」)
                  
藤原定子 夜もすがら契りしことを忘れずは 恋ひむ涙の色ぞゆかしき
小野小町 あはれなりわが身の果てや浅緑 つひには野辺の霞と思へば
鑑真和上 願わくば坐して死なん
最澄 心形久しく労して 一生ここに窮まれり
花山天皇 われ死ぬるものならば、まずこの女宮達をなん、忌のうちに皆とり持て行くべき
鳥羽天皇 常よりも睦まじきかな郭公(ほととぎす) 死出の山路の友と思へば
近衛天皇 虫の音のよわるのみかは過ぐる秋を 惜しむ我が身ぞまづ消えぬべき
源為義 父を斬る子 子に斬らるる父 斬るも斬らるるも宿執の拙き事 恥ずべし恥ずべし 恨むべし恨むべし
源頼政 埋れ木の花さく事もなかりしに 身のなるはてぞ悲しかりける
源實朝 出でて去なば主なき宿と成りぬとも 軒端の梅よ春をわするな

足利家時 わが命をちぢめて、三代の中に天下を取らしめ給へ
平清盛 やがて討手を遣わし 頼朝の首をば刎ねて 我が墓の前に懸くべし それぞ孝養にてあらんずる
木曾義仲   所々で討たれんよりも 一所でこそ討死をもせめ
平重衡  願わくば逆縁をもって順縁とし 只今最後の念仏によって 九品蓮台に生を遂ぐべし
源義経 御経もいま少しなり 読み果つる程は 死したりとも 我を守護せよ
後醍醐天皇 身はたとえ南山の苔に埋るとも 魂魄は常に北闕の天を望まんと思う
                  
真田幸村 関東軍 百万も候え 男は一人も無く候 
武田信玄 大ていは地に任せて肌骨好し 紅粉を塗らず自ら風流 
酒井忠勝 死にともなあら死にともな死にともな ご恩をうけし君を思えば 
早野巴人  こしらへて有りとは知らず西の奧 
曲亭馬琴  世の中の厄をのがれてもとのまま 帰るは雨と土の人形 
東福門院和子 武蔵野の草葉の末に宿りしか 都の空にかえる月かげ
安国寺恵瓊  清風払明月 明月払清風

楠木正行  返らじとかねて思えば梓弓 なき数に入る名をぞ留むる
宗峰妙超  仏祖を截断して 吹毛常に磨く 機輪転処して 虚空に牙を咬む
北条氏政  吹きと吹く風な恨みそ花の春 紅葉も残る秋あらばこそ
春日局  西に入る月を誘い法を得て 今日ぞ火宅をのがれけるかな
絵島 浮き世にはまた帰らめや武蔵野の 月の光のかげもはづかし 
阿部重次  天てらす月のひかりともろもろに 行すへすゞし曙のそら
平田靱負  住みなれし里も今更名残りにて 立ちぞわづらふ美濃の大牧
瀧善三郎   きのふみし夢は今更引かへて 神戸が宇良に名をやあげなむ
都々逸坊扇歌 都々逸もうたいつくして三味線枕 楽にわたしはねるわいな
                  
岡田以藏  君が為尽くす心は水の泡 消えにし後ぞ澄み渡るべき
大田實  大君の御はたのもとにして死してこそ 人と生まれし甲斐ぞありけり
松岡洋右  悔いもなく怨みもなくて行く黄泉(よみじ)
林子平(六無斎) 親も無し妻無し子無し版木無し 金も無けれど死にたくも無し
河上彦斎  君が為め 死ぬる骸に 草むさば 赤き心の 花や咲くらん  
君を思い君の御法に死ぬる身を ゆめ見こりなそつくせ世の人 
かねてよりなき身と知れど君が世を 思う心ぞ世に残りける 
   

平徳子(建礼門院) いざさらばなみだくらべむ郭公(ほととぎす) われもうき世(よ)にねをのみぞなく  
赤松義村  立ちよりて影もうつさじ流れては 浮世を出る谷川の水 
尼子勝久  都渡劃断す千差の道 南北東西本郷に達す 
天野隆良   不来不去 無死無生 今日雲晴れて 峰頭月明らかなり 
伊香賀隆正  思いきや千年をかけし山松の 朽ちぬるときを君に見んとは 
伊丹道甫   あたの世にしばしが程に旅衣 きて帰るこそ元の道なれ 
大内晴持   大内を出にし雲の身なれども 出雲の浦の藻屑とぞなる 
大嶋澄月   澄む月の暫し雲には隠るとも 己が光は照らさゞらめや 
大嶋照屋   仮初めの雲隠れとは思へ共 惜しむ習ひそ在明の月 
太田隆通   秋風の至り至らぬ山陰に 残る紅葉も散らずやはある 

岡部隆豊   白露の消えゆく秋の名残とや しばしは残る末の松風 
岡谷隆秀   時有りて自から至り時有りて又還る 清風水を度り明月天に在り 
小幡義実   宝剣を呑却して名弓を放下す 只斯の景のみ有り一陣の清風 
垣並房清   勝敗の迹を論ずること莫かれ 人我暫時の情一物不生の地 山寒うして海水清し 
蒲生大膳   まてしばし我ぞ渉りて三瀬川 浅み深みも君に知らせん 
木付統直   古へを慕うも門司の夢の月 いざ入りてまし阿弥陀寺の海 
熊谷直之   あはれとも問ふひとならでとふべきか 嵯峨野ふみわけておくの古寺 
黒川隆像 夢亦是夢 空猶是空 不来不去 端的の中に在り 
黒田孝高 おもひおく言の葉なくてつひに行く 道はまよはじなるにまかせて 
斎藤義龍   三十餘歳 守護人天 刹那一句 佛祖不傳 

相良義陽   思いきやともに消ゆべき露の身の 世にあり顔に見えむものとは 
島津歳久   晴蓑めが玉のありかを人とは々 いざ白雲の末も知られず 
少弐政資   花ぞ散る思へば風の科ならず 時至りぬる春の夕暮 
善しやただみだせる人のとがにあらじ 時至れると思ひけるかな 
高橋鑑種   末の露もとの雫や世の中の おくれさきたつならひなるらん 
高橋紹運   流れての末の世遠く埋もれぬ 名をや岩屋の苔の下水 
かばねをば岩屋の苔に埋みてぞ 雲ゐの空に名をとゞむべき 
立花道雪   異方に心ひくなよ豊国の 鉄の弓末に世はなりぬとも 
筒井順慶   根は枯れし筒井の水の清ければ 心の杉の葉はうかぶとも 
筒井定慶   世の人のくちはに懸る露の身の 消えては何の咎もあらじな 
鳥居景近   先立ちし小萩が本の秋風や 残る小枝の露誘うらん 
鳥居勝商 我が君の命にかわる玉の緒を 何に厭ひけん武士の道 

中村文荷斎   契あれや涼しき道に伴いて 後の世までも仕へ仕へむ 
新納忠元   さぞな春つれなき老とおもうらん ことしも花のあとに残れば 
二条良豊   秋風や真葛原に吹き荒れて 恨みぞ残る雲の上まで 
祢宜右信   風荒み跡なき露の草の原 散り残る花もいくほどの世ぞ 
野上房忠   生死を断じ去って 寂寞として声なし 法海風潔く 真如月明らかなり 
波多野秀尚   おほけなき空の恵みも尽きしかど いかで忘れん仇し人をば 
平塚為広   名のためにすつる命は惜しからじ つひにとまらぬうき世と思へば 
別所治忠   君なくば憂き身の命何かせむ 残りて甲斐の有る世なりとも 
北条氏照   天地の清き中より生れ来て もとのすみかにかえるべらなり 
北条氏政   吹くとふく風な恨みそ花の春 もみぢの残る秋あればこそ 
雨雲のおほへる月も胸の霧も はらひにけりな秋のゆふかぜ 
我身いま消とやいかにおもふべき 空より来りくうに帰れば 

細川高国   絵にうつし石を作りし海山を のちの世までも目かれずや見ん 
なしといひありと又いふことの葉や 法のまことの心なるらん 
前野長康   限りある身にぞあづさの弓張りて とどけまいらす前の山々 
松井康之   やすく行道こそ道よ是やこの これそまことのみちに入けり 
三浦義意   君が代は千代に八千代もよしやただ うつつのうちの夢のたはぶれ 
右田隆次   末の露本の雫に知るやいかに つひに遅れぬ世の習ひとは 
三原紹心   うつ太刀のかねのひゞきは久かたの 天津空にも聞えあぐべき 
宮原景種   逃るまじ処を兼て思い切れ 時に至りて涼しかるべし 
三好義賢   草枯らす霜又今朝の日に消えて 報のほどは終にのがれず 
宗像氏貞   人として名をかるばかり四十二年 消えてぞ帰るもとの如くに 
薬師寺元一   めいとには能わか衆のありけれは おもひ立ぬる旅衣かな 

山崎隆方   ありと聞きなしと思うも迷いなり 迷いなければ悟りさえなき 
冷泉隆豊   みよやたつ雲も煙も中空に さそひし風のすえも残らず 
小野木重勝室   鳥啼きて今ぞおもむく死出の山 関ありとてもわれな咎めそ 
鶴姫(つるひめ)   わが恋は三島の浦のうつせ貝 むなしくなりて名をぞわづらふ 
徹岫宗九   殺仏殺祖 遊戯神通 末期一句 猛虎舞空 
高橋お伝 (贋作)   なき夫の為に待ちゐし時なれば 手向に咲きし花とこそ知れ   
嬉しきも憂きも夢なり現なり さめては獄屋看ては故里    
子を思ふ親の心を汲む水に ぬるる袂の干る隙もなし    
しばらくも望みなき世にあらんより 渡し急げや三途の河守 
夜嵐お絹  夜嵐の覚めて跡なし夢の花 
ある死刑囚 何もかも われ一人(いちにん)のためなりき 今日一日のいのち尊し

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